乳腺外科

特徴

乳腺外科は、乳房に関連する疾患、特に乳がんに対する診断や治療を専門とする分野です。乳がんの早期発見と治療はとても重要です。マンモグラフィ、超音波、針生検などを用いて診断し、外科的な手術や他治療法を提供します。手術は乳房温存手術(部分切除)や乳房全摘手術など、また化学療法やホルモン療法などの他の治療法も含め、患者さんの状況に応じた治療プランが選択されます。また、一部の乳がん治療において、ハイパーサーミアを併用し、治療効果の向上を目指しています。当院では愛知医科大学病院より週1回非常勤医師が外来診療を行っています。専門的な治療・検査が必要となった場合は近隣の専門病院に紹介させていただきます。

当院での診療内容

乳がん検診 マンモグラフィや超音波検査など、乳がんの早期発見のための検診を行います。
乳がん診断 精密検査を行い、乳がんの診断を行います。
乳がん治療
  • 手術療法(乳房温存手術、乳房切除術)
  • 薬物療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的薬療法)
  • 放射線療法
  • ハイパーサーミア(温熱療法):放射線治療や化学療法との併用で、治療効果を高めることが期待できます。
  • 患者さまの状態に合わせた最適な治療法を提供します。

ハイパーサーミア(温熱療法)は化学療法や放射線療法との併用により相乗的な効果が期待できる癌治療法であり、保険適用となっています。ハイパーサーミアは、8MHzの高周波を流し身体内部に高周波電流が流れ、そのジュール熱により患部の温度を上昇させる仕組みです。

ハイパーサーミア(がん温熱治療)では、がん組織のある局所を30~60分、42~43℃以上に加温します。温熱による作用だけではなく、放射線療法や化学療法の効果を高めるとともに、免疫療法などとも併用することができます。

どうして癌にきくのか

ハイパーサーミアの癌治療における生物学的な有効性の根拠をまとめると以下のようになります。

  1. 42~43℃の加温により加温時間とともに細胞の生存率が低下する。この現象は多くの癌細胞に共通にみられ、温熱感受性は癌の組織型にあまり左右されないと考えられています。
  2. 正常組織の血管は加温されると、恒常性を保とうとします。血管が拡張し血流を増やすことで加温された組織を血液で冷却しようとします。一方、腫瘍組織の血管は新生血管であるため、正常組織の血管のような反応をする機能が欠落しており、血流は増加せず血液による冷却効果が働かない。従って腫瘍組織の方が正常組織より加温されやすいと考えられています。
  3. 低酸素細胞の方が高酸素細胞より温熱に弱い。腫瘍細胞は正常組織と比べると血流量が少ないため低酸素、低栄養に陥っています。
  4. 温熱は多くの化学療法剤の効果を増強します。温熱によりがん組織の細胞内に多くの薬剤が取り込まれ、抗腫瘍効果が増強されることが確認されています。

(ハイパーサーミア;古倉聡、診断と治療者より抜粋)

温熱療法副作用について

重篤な副作用はありませんが熱傷(火傷)、熱中症、倦怠感のような熱にともなう症状が出現する可能性があります。

【症例】70歳代女性.1年前に左乳癌と診断されるも放置、増大したために当科を受診.左乳房は全体に硬結し表層に浸潤露出していました。治療にて腫瘤は平たん化しました。乳癌局所進行例に対するハイパーサーミアでは、腫瘍内温度上昇が得やすく腫瘍縮小効果が認められます。

乳腺良性疾患 乳腺炎、乳腺線維腺腫、乳腺症などの乳腺良性疾患の診断・治療を行います。
乳房再建 乳房切除術後の乳房再建術を行います。
セカンドオピニオン 他の医療機関で診断・治療を受けた方のセカンドオピニオンも受け付けています。

乳房のしこり、痛み、分泌物など、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。 早期発見・早期治療が大切です。